日本人の90％ほどが1つしかない「つむじ」ですが、中には2つや3つなど複数のつむじを持つ方がいます。
またその位置も頭頂部周辺や前頭部、または眉毛やすね毛にある場合もありますし、巻いている方向も右巻きと左巻きなど、つむじは不思議な事が多いです。

そんなつむじが頭頂部に2つあるとハゲるという言い伝えがありますが、結論から申し上げればつむじの距離が近く地肌が見えやすいことからハゲて見えるだけだと言えます。

今回はつむじが2つあるとハゲるという言い伝えの真相や、つむじの数は遺伝で決まるのか、つむじが複数ある方に多いとされる性格などについて解説していくので、是非最後までご覧になってみてください。

そもそもつむじとは？

つむじというのは右・左どちらかに髪の毛や体毛が渦を巻いている場所の事を指し、日本人の90％が1つしかなく2つある方は7％、それ以上となると約3％程度とかなり珍しくなります。
ほとんどは頭頂部周辺にあるものですが、2つ以上ある方では耳の後ろや生え際周辺にあることも多いです。

そもそもつむじというものが何故あるのか、まずはご説明していきましょう。

つむじは髪の毛が生える時の中心地点

人間は妊娠5～7カ月までの胎児の時に、頭頂部とおしりを結ぶ一直線のラインを軸にして皮膚が形成されます。

髪の毛は皮膚が形成される際に同時に形成されるのですが、軸を中心として回転しながら作られていくため、頭頂部につむじという毛の流れの渦が出来るのです。

つむじにはどんな役割がある？

つむじが回転している事で髪の毛が生える方向が一定になり、そのおかげで髪の毛は頭皮から垂直ではなく斜めに生えています。

つむじがあるおかげでしっかりと頭皮を紫外線から守る事が出来、さらに水や汚れなどが溜まらず流れ落ち、さらにぶつかった際の衝撃を逃がす・体温が拡散されてしまう事を防いで保温するなど、身体を防御する為の役割がつむじにはあるのです。

つむじが2つあるとハゲるというのは単なる言い伝え

昔から「つむじが2つあるとハゲる」という言い伝えはあるものの、現在まで科学的根拠のある論文は発表されておりません。
では何故、つむじが2つあるとハゲると言われるようになったのか、その点について解説しましょう。

2つあるつむじの場所が近くてハゲて見えるだけ

つむじが1つしかない方の場合であっても、髪の毛が生えている中心なのでほとんどはつむじ部分に地肌が見えるのですが、2つ並んである方の場合は地肌がより見えやすくなるのでハゲて見えることがあります。

また髪の毛が流れる方向が一定ではなくなってしまう為、分け目が広く見えてしまったりもして地肌が見える範囲が広くなり、ハゲて見えるのです。

つむじ周辺はハゲやすい

つむじが2つあるとハゲるという言い伝えには、つむじ周辺がハゲやすいことから来ている可能性もあります。
というのも頭頂部はAGAになりやすく、また生活習慣の影響でもハゲやすいという事があるからです。

何故かというとつむじがある頭頂部には細い血管しか無く、血流が悪化してしまうことで髪の毛を育てる為の栄養が届きにくく、一番紫外線を浴びる場所でもあるので頭皮環境が悪化しやすいという事があります。
そうなってしまうと髪の毛は生えて来ても細く弱いものであったり、育たなくなることもあるという事で、つむじ周辺はハゲやすいと言えるのです。

こんな場合はAGAの可能性もある

つむじが隣り合っているせいでハゲて見えるだけの場合が多いつむじが2つある方でも、以前と比べて地肌が見える範囲が広くなった場合にはAGAの可能性を疑った方が良いでしょう。

また、つむじ周辺の髪の毛が細くなっている場合や見えている地肌の色が赤や茶・黄色みがかっているなどしている場合は、AGAの他に脂漏性脱毛症や粃糠性脱毛症、頭皮環境の悪化の可能性もあります。
頭頂部のボリュームが少なくなってきたなど、以前と比較して変化している時はAGAなどの脱毛症を疑い、専門家へ相談する事を考えましょう。

つむじの数や方向は遺伝で決まる？

つむじの数や回転している方向は遺伝によって決まる確率が高いと考えられ、両親ともにつむじが2つある場合は子供も2つのつむじを持って生まれる事が多いと言われています。
つむじが2つある方の中には、右巻きと左巻きが並ぶように存在して鳥居のような毛の流れに見える「鳥居つむじ」になっている事もあるようですが、かなり珍しく2つつむじがある方の中でも数％ほどしかいないそうです。

そんな2つあるつむじや渦を巻く方向は、国立成育医療研究センターが運営する遺伝性疾患の総合データベースに遺伝的に決定されると記載されています。
また利き手とつむじの関係性も、遺伝的なメカニズムによって生じている事が2003年に米国遺伝学会において発表されており、つむじの数や渦を巻く方向には遺伝要素が深く関連している事が分かっています。

つむじが2つ以上ある人に多いとされる性格

日本人のつむじの数は約90％が1つ、2つある確率は約7％で3つ以上となると約3％程となり、つむじが2つあるとハゲると言われる以外にも「つむじが2つあると天才だ」「2つつむじがある子供は負けず嫌いで頑固な子が多い」など、性格に関する言い伝えも多いです。

そこでつむじが2つある方に多いと言い伝えられている性格についても、少し触れてみましょう。

つむじが2つある方に多いと言い伝えられている性格：天才肌

元プロ野球選手のイチローさんや体操選手の内村航平さん、爆笑問題の太田光さんもつむじが2つあり、それぞれの世界で活躍している天才です。
この方たちのようにつむじが2つある方には、生まれ持ってした天才肌という気質をお持ちの方が多いと言われています。

スポーツ選手は努力値も高いとは思いますが、基本的につむじを2つ持つ方には努力せずともある程度の成績を残せる方や、才能と直感で進んでいける天才肌が多くいるようです。
とはいえ、つむじが複数ある中でも鳥居つむじに限られていたりもしますし、昔は大変珍しいものとされていたのでつむじが2つある方が人生で成功したこと広まり、天才肌だと言われていたという説もあります。

つむじが2つある方に多いと言い伝えられている性格：わんぱく

沖縄県ではつむじが2つあることを「たーちまちゃー」と呼び、さらに「たーちまちゃーはうーまくーになるはずよ」と言われるそうです。
「うーまくー」は、わんぱくという意味があり、つまり「つむじが2つある子供はわんぱくになるよ」という事になり、特に男の子の場合では元気に育ってくれるとの事から喜ばれています。

実際に沖縄県ではつむじが2つある子供はわんぱくなのかという調査をしており、約60％がわんぱくであったという結果が出ていました。(出典：[琉球リアルリサーチ　あるある調査隊] たーちまちゅーはうーまくーなのか)
わんぱくであるという事は元気な子供であるという事でもあるので、さほど気にする事は無いでしょう。

つむじが2つある方に多いと言い伝えられている性格：頑固・癇が強い

つむじが2つある方に多いと言われている性格には、頑固・癇が強いなどという事もあります。
実際に夜泣きが酷かったり自身の思う事に真っ直ぐであったりする事も多く、一途に目標に向かって進むタイプが多いと言われているようです。

とはいえ、つむじが1つしか無い方の中にもとても頑固な方や癇が強い方は多いですし、つむじが2つ以上ある方でも謙虚で控えめな方もいるため、髪の毛の癖が強く頑固であることから迷信が生まれたのではないかという可能性があります。

つむじが2つある方に多いと言い伝えられている性格：海外編

海外でもつむじが2つある方は珍しいようで、様々な言い伝えが各国に存在していました。
中国では「いたずらっ子」フィリピンだと「破天荒でトラブルメーカーになる」、またギリシャでは「つむじの数は生涯で結婚する数」だとされベトナムでは「賢い」、ヨーロッパではつむじの数は幸運の数となり幸せな人生を送ることが出来るという言い伝えがあるようです。

また、中国ではつむじの位置が生まれた時間を現していると言われていたり、アメリカには1人目の子どものつむじが右巻きなら次の子供は男の子、左巻きでは女の子が生まれるなどと言う占いのようなものもありました。

ハゲて見えるつむじとつむじハゲの違い

ここまではつむじが2つある事についてお話させていただきましたが、続いてはハゲて見えるだけのつむじとつむじハゲにはどんな違いがあるかについて解説していきます。

もしご自身がつむじハゲかもしれないと悩んでいるのであれば、是非以下でご紹介するつむじハゲチェックを行い早めに対処する事をおすすめします。

つむじハゲかどうかをセルフチェック

まずはご自身のつむじが現在どのような状態になっているか、つむじ部分の写真をご用意していただいて以下の特徴と共通しているかどうかをチェックしてみましょう。

これらの特徴に当てはまっている方はつむじハゲの可能性が高いと言えるのですが、では一体何故つむじハゲになってしまうのか、その原因を解説していきましょう。

つむじハゲになる原因とは

つむじが1つの方であっても2つある方でも、つむじハゲになってしまう原因は同じです。
男性と女性で多少の違いがあり、男性ではAGAや頭皮環境の乱れ、女性ですと牽引性脱毛症やびまん性脱毛症が主なつむじハゲの原因となります。

ほとんどの方がつむじを直接見る事は難しい為、髪の毛をセットする際にボリュームが出なくて気付く以外は美容師さんや身内の方からの指摘、後ろ姿が映っている写真を見た等で気付かれる事が多いです。

つむじハゲの原因：AGA

つむじハゲになる原因の一つ目はAGA(男性型脱毛症)です。年齢に関係なく発症する脱毛症で、男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼという還元酵素と結びつき変化したジヒドロテストステロンが、毛乳頭細胞にあるアンドロゲン受容体と結合して脱毛を促すTGF-βを産出する事で起こるものです。

遺伝的に5αリダクターゼの分泌が多い方やアンドロゲン受容体の感受性が高い方はAGAになりやすく、またつむじ周辺や生え際には5αリダクターゼが多く存在しているので、AGAが進行しやすくなります。

男性の薄毛についてはこちら

つむじハゲの原因：頭皮環境の乱れ

皮脂の分泌が過剰であったり炎症を起こしやすい、頭皮の血流が悪化しているというように頭皮の環境が乱れている事もつむじハゲの原因となります。
頭皮環境が悪化する原因には、食生活や生活習慣の乱れ・睡眠不足・ストレス・体の冷えや喫煙・飲酒など様々な事が関わっており、自律神経やホルモンのバランスが乱れてしまう事も関係しているのです。

その他にはシャンプーの選び方や洗い方が間違っている、自然乾燥させている、紫外線を長期間長く浴びているなどで頭皮が乾燥していると、頭皮環境が悪化しやすくなってしまいますので早めに対策を行う必要があります。

つむじハゲの原因：牽引性脱毛症

髪の毛が長い方に多いつむじハゲの原因には、牽引性脱毛症があります。
いつも同じ場所できつく結んでいる・毎日ヘアアイロンを使っている・ヘアエクステを付けている等する方に多く、長時間髪の毛が引っ張られている状態になる事で起こる脱毛症です。

髪の毛が強く引っ張られて髪の毛が抜けたり切れたりする事も増え、また頭皮に負荷がかかって血行不良になってしまう事も牽引性脱毛症の原因となります。

つむじハゲの原因：びまん性脱毛症

進行してしまうと、つむじハゲに限らず頭部全体の髪の毛が少なくなってしまうという、女性特有の脱毛症がびまん性脱毛症です。
髪の毛が痩せて細くなり頭皮が透けて見えてしまうようになるもので、原因としてはホルモン分泌の低下や過度なダイエット、ストレス・食生活の乱れ・間違ったヘアケアやピル、出産後脱毛症など様々な事が複雑に絡み合っていると考えられています。

また、びまん性脱毛症は全体的に髪の毛が少なくなるのですが、つむじや分け目の地肌が目立つ・ボリュームが少なくなったという事で気付いた時にはかなり進行していたというケースも散見されますので、日頃から注意して観察することがおすすめです。

女性の薄毛についてはこちら

まとめ

今回はつむじが2つあるとハゲるという言い伝えの真実や遺伝するのか、つむじが2つある方に多いと言われる性格などについて解説しました。

つむじが2つあるとハゲるという言い伝えは科学的に証明されておらず、またつむじが2つあることで地肌が見えやすい状態になりハゲて見えるだけです。
性格に関しても単なる迷信の域を越えず、つむじが2つあるからと言って頑固だったりわんぱくだという事は言えません。

つむじが2つ以上あってハゲて見えるのが嫌だという方は、美容師にハゲて見えないようなカットやスタイリングの方法を教えてもらう事で解消する場合がありますので、是非相談してみてください。

すでにつむじハゲになっている方やつむじハゲの特徴に1つでも当てはまっている方は、今後の進行を緩やかにするためにも気軽に薄毛の専門家へ相談する事をおすすめします。

参考文献
日本医師会ホームページ つむじの話
人間の利き手と頭皮の毛-旋毛の方向性が発達する一般的な遺伝的メカニズムから
あすか製薬 頭頂部の薄毛 5つの原因と対策
たまGoo つむじが2個ある子どもは賢い？！つむじの言い伝えアレコレ