女性の薄毛であるFPHL（女性型脱毛症）。

以前まで女性の薄毛は、FAGA（女性男性型脱毛症）と呼ばれていましたが、現在では、FAGAではなくFPHL（女性型脱毛症）と呼ばれるようもなっております。

しかし、具体的にどのような症状が「女性の薄毛」に該当するのでしょうか？

今回は、「FPHLの概念や、他の脱毛症との違い、そして原因と対策」について解説致します。

FPHL（女性型脱毛症）とは？

FPHLとは、female pattern hair loss の頭文字を取り、2017年に新たに改定された男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版として病名として扱われるようになりました。

直訳すると、「female pattern hair loss=女性型の脱毛症」という意味があり、女性型脱毛症と呼ばれています。

FAGAとFPHLの違い

以前までFAGA（女性男性型脱毛症）と呼ばれていた名称が、FPHLに改定されたのには理由があります。

改めて、FAGAとFPHLの言葉の意味を確認してみましょう。

上記の英訳を確認すると、FPHLとFAGAの最大の違いは、「androgenetic（男性ホルモン）」が関与するかとなります。

FAGAには「androgenetic」とあるように、男性ホルモンによって生じる脱毛症であることを意味しています。

しかし、女性の薄毛について研究が進むにつれ女性の脱毛症は、AGAとは症状や原因が異なることや脱毛症の原因が男性ホルモンだけはないことが明らかとなったため、現在はFAGAではなくFPHLが主となる考えとなります。

FPHLの症状

女性の薄毛FPHLの症状の半数以上が、頭頂部から生え際にかけて全体的に毛量が低下する「びまん性脱毛症」と呼ばれる症状です。

男性の薄毛（AGA）の種類は、ハミルトンノーウッド分類法を用いられることが多いですが、女性の薄毛（FPHL）は、症状に応じて3パターンに分類されます。

FPHLと似た症状の脱毛症

女性の薄毛は全てがFPHLというわけではありません。

抜け毛や薄毛の症状としては似ているが原因が全く異なると脱毛症が3種類存在します。

甲状腺機能の病気（バセドウ病・橋本病）

甲状腺の機能に異常が起きることで、ホルモンバランスの分泌が乱れることによって脱毛が生じる場合もあります。

甲状腺には体の新陳代謝を司る働きがあり、「機能が活発になりすぎる・低下する」ことによって髪の毛が正常に発育することが出来ず髪が抜け落ちてしまうのです。

はっきりとした原因は明らかとなっていませんが、男性より女性の方が発症率が高く、FPHLと似た症状に感じるケースも少なくありません。

頭部白癬（しらくも）

白癬（しらくも）は、水虫の原因菌と言われる皮膚糸状菌が頭部に繁殖してしまうことによって起きる皮膚病となります。

牽引性脱毛症

髪の毛が部分的に抜けて薄くなってしまっている場合、髪を引っ張ることによる抜け毛や、圧迫されることによって血行不良を起こして脱毛する牽引性脱毛症が疑われます。

物理的な刺激によって起きる脱毛症のため、放置したとしても進行することはありません。また、頭皮への負担を緩和することによって改善されるケースが多いのが特徴です。

女性の薄毛（FPHL）の原因

AGA（男性型脱毛症）のように男性ホルモンが原因というわけではなく、FPHLが起きる原因は非常に多岐に渡ります。

下記のことが起因となって毛量が低下することが明らかとなっていますが、詳しいメカニズムについては未だ明らかとなっていない部分が多いです。

上記のような生活習慣にある些細な原因がきっかけとなり、ヘアサイクルが乱れ、休止期毛の割合が増えて抜け毛が増加することが多いのです。

女性の薄毛（FPHL）への治療法とは？

FPHLの治療方法は、原因となる生活習慣を改善または、投薬治療を行うことが主流となります。

FPHLの対策法：生活習慣の改善

女性の薄毛は、生活習慣の些細なことが原因で脱毛症が生じてきます。

そのため、その人の体質や生活習慣を確認して薄毛となりうる原因を一つずつ改善することが大切となります。

具体的な女性の薄毛対策：
食生活
睡眠時間
体質の改善（アレルギー、血流具合）
運動
ストレスの緩和など

FPHLの対策法：投薬治療

FPHLに対して有効として考えられているのが、ミノキシジルの外用薬の使用となります。

ミノキシジルは、血管を拡張させる効果が高く、塗布した部分の血流を促すことで発毛力を高めることが可能です。

女性がミノキシジルリキッドを使用する場合、男性（ミノキシジル5%）より低濃度の使用が推奨されおり、国内ではミノキシジル１％のみ使用が認可されています。

女性の薄毛へフィナステリド やデュタステリド の使用は禁止

AGA（男性型脱毛症）に使用されるフィナステリド やデュタステリド は女性の薄毛治療には禁忌な薬となります。

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版にも記載がある通り、女性における5α-リダクターゼの阻害薬は「行うべきではない」と定義されています。

臨床データにおいても、女性がフィナステリド を服用することで薄毛が改善されないことが明らかとなっています。

女性に対する適応はない。海外で実施した閉経後女性の男性型脱毛症を対象とした12ヵ月間のプラセボ対照二重盲検比較試験（n＝137）において、フィナステリドの有効性は認められなかった。

プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg　添付文書

FPHLの改善例を紹介

実際に弊社が運営する薄毛治療院にご来店された実例を２つ紹介します。

20代女性　M字部分のボリューム改善

上記の例は、生え際（M字部分）のボリュームが低下したことによって来店されました。

日々の生活改善だけでなく、薄毛への施術（成長因子の導入等）を行うことで8ヶ月後にはボリューム改善に成功しております。※）ミノキシジル 不使用

40代女性　頭頂部のボリューム低下

来店時には、つむじから生え際にかけて、地肌が見えてしまっている状態でしたが、内側から体質を改善することで、年齢相応の髪の毛のボリュームを取り戻すことに成功しました。

※）ミノキシジル 不使用

上記のようにしっかりと女性の薄毛の原因にあった対策を行うことで薄毛が治るケースは非常に多いです。

しかし、原因を取り除かない限りなかなか改善しない悩みでもあるため、まずは薄毛の専門家へご相談くださいませ。

参考文献

しらくも（頭部白癬） – 17. 皮膚の病気 – MSDマニュアル家庭版

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